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2019年02月08日(月) 14時00分
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カテゴリー: 漫画の道具
皆さん、「漫画の道具」取材担当のシュウ1です。

前回の下條よしあき先生のアナログ編の続きとして、

今週は下條先生のデジタル漫画道具について、紹介させていただきたいと思います。

シュウ1:

先生はいつ頃からパソコンで漫画を描き始めたのですか。そのきっかけは何ですか?

下條先生:

きっかけは、1997年頃周りの漫画家の何人かがパソコンで漫画を描き始めたんです。

「あれ!?パソコンで 絵が描けるんだ」と思いました。

でも2000年より前は、パソコンで絵を描くのは、見ていてもしんどかったんですよ。

これは仕事にならないと思ってました。

1999年ごろMacのG3とかG4で漫画を描くのを見て、「あっこれは凄い!ちゃんと漫画が描ける!!」パソコンは漫画道具として素晴らしいじゃないかと思いました。

それで大金を持って池袋のパソコンショップに飛んでいきましたね。

一か月でGペン・スクリーントーンのアナログからパソコンのデジタル作画に変えました。

だから、もう17年になりますね。

2000年から2017年までは、漫画制作は基本的にパソコンです。

アナログ制作は編集部にアナログで描いてほしいと頼まれた時だけです。

シュウ1:

え〜一気に変えましたか。

では、先生は今どんなソフトを使っていらっしゃいますか。



下條先生:

今は「CLIP STUDIO PAINT EX」と「Photoshop CS6」をメインに使ってます。

アナログで描いた人物を少し変えるにも描き直ししかないけど、パソコンだと失敗しても戻れるし、レイヤーという便利なものがある。

レイヤーとはアニメのセルみたいなもので、何枚でも重ねて絵を完成させられます。

また、背景や人物のサイズを変えることも容易にできるんです。

楽しいですよ。(笑)



(人物の拡大)



(キャラクターだけを消すことも可能)

シュウ1:

え〜機械のように部品毎に自由に変換できますね。

とても便利そうです。

他に、パソコンで描く利点はありますか。

下條先生:

パソコンで描くといいことは、割と自分の作品を冷静に見れる感じがあります。

第三者の目で自分の作品を見てるようです。

アナログの場合原稿が上がった段階で、私は漫画としての出来具合の判断が難しいです。

パソコンなら、画面をグッと小ちゃくして漫画全体を見ることができます。

印刷された状態に近く見ることも可能なんです。

そうすると、「あっ、ここはもう少しこうしたほうが良いな」等、冷静に判断できます。

これがすごく大事だと思います。

デジタル制作の魅力もわかってもらえたと思いますが、ただし、絵をプレゼントとして人にあげる場合は、パソコンで描いた絵ではなかなか喜んでもらえないですよ。(笑)

人に絵をあげる時は、水彩とか色鉛筆やパステル・コピックで描くと、絵に手書きの温かみが出るからなのかすごく喜ばれます。

仕事で漫画を描く場合は、本に載った時に面白いこと、人気が出ることの方が大事です。

描き方はアナログでもパソコンでも何でもいいのです。

シュウ1:

おっしゃる通りです。



(下條先生がパソコンで描いたゴルフ漫画ー「スイング軌道と曲がり幅の関係」第5話)

シュウ1:

先生はどちらでソフトの使い方を学ばれましたか。

下條先生:

パソコンを導入する段階からパソコンに詳しい漫画家さんの友人がいて教えてくれましたね。

困ったら深夜でも電話して教えてもらいました。

それがしゅっちゅうなんですよ。

今考えたらすごく非常識でした。

友人は優しい人だったんですね。

あとは J-Macという勉強会です。

ここはマックで絵を描く人の集まりです。

みんな最初は ソフトの一部しか使えなかったんですが、情報を教えあってどんどん使えるようになりました。

それがすごく勉強になりました。もうみんな夢中でした。

シュウ1:

本じゃなくて人からですか。

では本日最後の質問ですが、今のソフトに対して進化してほしい機能はありますか。

下條先生:進化してほしいというより進化が邪魔だと思う事があります。(笑)

シュウ1:

えっ?邪魔ですか。

下條先生:

そうですね。

せっかく使い方を覚えて、漫画がガシガシ描けるようになって、漫画を描くことに集中したいのに、バージョンアップが出たーって、嬉しいよりやれやれと言いう気持ちの方が僕は大きかったです。

またいろいろと覚えなくちゃいけないことになるんですよ。

「あれ、この機能どこに行っちゃった?」って、、、

2002、3年でもう進化を止めてほしいと思ってましたよ(笑)

Photoshop5.5というのがあって、これがすごく良くできているから、これでいい、もう漫画を描く事に専念したいと思っていました。

連載を何本も抱えて睡眠もまともにとれない時期だったし。

進化は凄いけど慣れるまではしんどい!

デジタルで漫画を描こうと思った時から進化に対応する面倒くささを覚悟しなければいけなかったんですかね…(笑)

進化を楽しんでいる人もいるというのに僕はものぐさ者ですね。

シュウ1:

ははは、ソフト開発者にも聞いてほしいですね。

本日はありがとうございました!

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本庄敬先生のプロフィール

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