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2019年07月09日(火) 14時00分

カテゴリー: 漫薦
皆さん、お待たせしました。「漫薦」の第3弾が来ました!

プロ漫画家の視点から、面白くて薦めたいと思われる作品を紹介する「漫薦」ですが、

今回は『マイコン刑事』、『雨の朝サブは』などの作品を描かれた下條よしあき先生のオススメをうかがってきました!

シュウ1:

本日はお忙しいところ、インタビューをさせていただきましてありがとうございます。

早速ですが、先生はどんな漫画作品を皆さんに薦めたいでしょうか?

下條先生:

お薦めしたいのは「六三四の剣」(村上もとか)、「すえっ子台風」(あべりつこ)、「雨」(樹村みのり)この3作です。



(下條先生が持ってる「六三四の剣」(1)、「すえっ子台風」(1)、「雨」3冊)

シュウ1:

この3冊の漫画は先生に特別な作品ですか?

下條先生:

そうですね。

今まで膨大な数の漫画を入手して読んでおり、そのままでは増える一方なので、やむなく手持ちの漫画を整理・処分して来ましたが、この三冊はずっと手元に残っています。

70年代のものですけれども、この3冊は自分の中に特別な思い出があって、見るたびに、「あー、まだ頑張らなきゃー」と思うんです。今も力づけてくれるんです。

自信をなくしたり不安な時に、フレッシュな気持ちで真剣に漫画に取り組みたいという初心に戻してくれます。ありがたい3冊です(笑)

シュウ1:

うわーとても大事な作品ですね。

初めてこの3冊を読まれたのはいつ頃のことでしょうか。

下條先生:

初めてこの3作を読んだのは20代前半です。

シュウ1:

ではまず、同じぽけまんメンバーの村上先生の「六三四の剣」ですが、この作品のどんなところが魅力ですか。

(『六三四の剣』は、村上もとか氏による漫画作品。

『週刊少年サンデー』(小学館刊)にて1981年から1985年まで連載された。

岩手県を舞台に、少年剣士の成長をライバルとの関係を軸に描く漫画。)

下條先生:

「六三四の剣」の好きなところは、子供が活き活きと描けているところです。

私が子供を描くのが好きなのは、やはり「六三四の剣」を初期の段階で読んで、あの様に活き活きとしてる子供を描きたいという思いが強くあったからなんですね。

ほかにも子供が活躍する漫画はいくらでもありますが「六三四の剣」に出会わなければそれほど子供を描こうとは思わなかったですね。

編集者に下條さんは子供とおじいさんを描くのが得意ですよねと言われるようになれたのは、やはり「六三四の剣」のおかげです。

今「ぽけまん」 で公開させてもらってる「美幸丸」という作品も、おじいちゃんが孫を連れて釣り船に乗る話で嫌われ者だった頑固なおじいちゃんが皆から尊敬されるようになっていくのは、孫である子供を活き活きと描けてないとおじいちゃんのキャラが生きてこないんですね。

そういう漫画が描けたのも「六三四の剣」おかげだと思いますね。



活き活きと描けてる六三四(出典:「六三四の剣」01巻)

シュウ1:

大きな影響でしたね。

活き活きした子供を描こうと思ったら、「六三四の剣」は良い教材ですね。さすが村上先生です。

続いて、あべりつこ先生の「すえっ子台風」について教えていただけますか。

(『すえっ子台風』は、あべりつこ氏による漫画作品。1972年に講談社により出版された。

女子バスケットボール部に入った勝気な末っ子の物語を描く漫画。)

下條先生:

あべりつこ先生の「すえっ子台風」や他の作品も自分の理想的な女の子が描かれている 作品です(笑)

「すえっ子台風」勝ち気で背の高い女の子がスポーツをやる漫画です。

男勝りで勝ち気な女の子が好きに なったのは、あべりつこ作品の影響だと思います。



(出典:「すえっ子台風」01〜02巻)

シュウ1:

えへへへ。なるほど、男勝りで勝ち気でスポーツが得意な女の子がお好きですか。

下條先生:

そうです。今でも、自分よりふたまわりも大きいバスケ選手やバレー選手のよう な女の子に憧れます(笑)

シュウ1:

そういう意味では、「すえっ子台風」はちゃんと勝ち気な女の子の魅力が読者 に伝わってくる作品ですね。

では続いては、「雨」という作品です。

(『雨 -樹村みのり初期短編集』は樹村みのり氏による漫画作品。

1966年から1975年までの間の短編が収録され、朝日ソノラマにより、1977年に出版された。)

下條先生:

樹村みのり先生の短編が好きだという漫画家さんは多いですね。

日常を描いた短編漫画なんですね。

私、男3人兄弟でガキのように喧しく育ったもので、このお姉ちゃんと弟というちょっと静かで大人びた関係がとても羨ましくて、憧れて何度も何度も読み返した作品ですね(笑)

この「雨」という単行本には収録されていなのですが「弟-おとうと-」「おねえさんの結婚」というCOMという雑誌に掲載された短編もとても優しい気持ちにさせてくれる漫画ですね。

自分が描けるタイプの漫画ではないのですが、60歳半ばすぎても時々読み返しては幸せな気持ちに浸っています。

20ページそこらで長いこと読者を幸せな気持ちにさせてくれる漫画って凄いことだなあとつくづく思います。



(出典:「雨-樹村みのり初期短編集」)

シュウ1:

3作も薦めていただきまして、ありがとうございました。

興味のある方、ぜひ読んでみてくださいね!

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